一般社団法人 日本肝臓学会

移植費用と医療費助成制度

1.レシピエントの費用に関して

肝移植(脳死・生体)の入院・手術は保険診療です。保険診療となる疾患は「先天性胆道閉鎖症、進行性肝内胆汁うっ滞症(原発性胆汁性胆管炎と原発性硬化性胆管炎を含む。)、アラジール症候群、バッドキアリー症候群、先天性代謝性肝疾患(家族性アミロイドポリニューロパチーを含む。)、多発嚢胞肝、カロリ病、肝硬変(非代償期)及び急性肝不全(劇症肝炎;ウイルス性、自己免疫性、薬剤性、成因不明を含む。)です。なお、肝硬変(非代償期)に肝癌(転移性のものを除く。以下同じ。)を合併している場合には、遠隔転移と血管侵襲を認めないもので、肝内に長径5cm以下1個、長径3cm以下3個以内、又は長径5cm以下5個以内かつα-フェトプロテイン(AFP)の検査結果が500ng/mL以下である場合に限ります。また、小児肝芽腫についても対象疾患に含むものとするとされています。
また、肝癌の進展範囲が上記範囲内であっても、背景肝疾患が非代償性肝硬変でない場合の肝移植は、保険適応外ですので注意が必要です。
さらに、上記にない希少肝疾患・特殊肝疾患に関しては、私費診療となる可能性もあります。

2.生体ドナーの費用に関して

レシピエントが保険診療・私費診療であるかによりドナーの診療費用も異なります。保険診療であっても、ドナー候補者としての術前の検査費用は、一旦全額自己負担で支払う必要があり、その後ドナーと決定し移植手術が終了したら返金されます。また、ドナーの検査費用、入院・手術費用はレシピエントの医療費として、レシピエントの診療保険への請求となります。レシピエントが私費診療の場合、ドナーも私費診療となります。

3.肝移植の費用全般に関して

下記、日本移植学会ホームページを参照ください。
(日本移植学会)http://www.asas.or.jp/jst/general/qa/liver/qa9.php

4.公費負担医療制度

公的負担医療制度とは、医療の一部や全額を国や地方自治体が負担する制度で、医療費助成制度の一つです。レシピエントの疾患等によっても利用できる制度が異なりますので、お住まいの各地方自治体に問い合わせてください。

①小児慢性特定疾患対策
小児慢性特定にかかっている18歳未満(引き続き治療が必要と認められる場合は20歳未満)の児童の家庭の医療費の負担軽減する制度
(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000078973.html
(小児慢性特定疾病情報センター)https://www.shouman.jp
②難病医療費助成制度
難病法に基づき指定される指定難病について、効果的な治療法が確立されるまで医療費を支援する制度
(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nanbyou/index.html
(難病情報センター)https://www.nanbyou.or.jp
③高額医療費制度
保険適応疾患の肝移植手術に対しては、高額療養費制度が受けることができます。医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局窓口で支払う医療費が1ヶ月で上限を超えた場合、その超えた額を支給する制度です。
(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html
④身体障害者認定
肝移植後で免疫抑制剤を内服されている患者さんについて、身体障害者手帳の1級の認定を受けることができます。
また、2010年より重度の肝機能障害のある方は障害認定を受けることができるようになりました。これらの認定により医療費や通院時に関わる交通費などの負担軽減ができるようになります。
(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/shougaishatechou/index.html
⑤自立支援医療制度(育成医療・更生医療)
また、身体障害者認定を受けておられる18歳未満(育成医療)、18歳以上(更生医療)が、その障害を除去・軽減する手術や治療のために医療費の自己負担を軽減する公費負担医療制度です。自立支援医療制度は施設認定となるため、登録施設の受診・処方・入院等に使用できます。
(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/gaiyo.html