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肝疾患におけるサルコペニア判定基準(第1版)

一般社団法人日本肝臓学会 肝疾患におけるサルコペニア判定基準(第1版)作成にあたって

肝疾患におけるサルコペニア判定基準(第1版)

資料 ガイドライン図表

        一般社団法人日本肝臓学会
        理事長  小池 和彦

        サルコペニア判定基準作成ワーキンググループ
        委員長  西口 修平

 

 一般社団法人日本肝臓学会では2015年5月よりサルコペニア判定基準作成ワーキンググループを立ち上げ、高齢者に対する一般的なサルコペニアの診断基準をベースに、肝疾患に特化したサルコペニアの判定基準の作成を目指してきた。この間、ワーキンググループ各委員から持ち寄られた肝疾患患者の臨床成績を集計し、わが国の肝疾患におけるサルコペニアの判定に用いる握力や筋肉面積などの基準値を検討し、肝疾患におけるサルコペニアの判定基準の策定に至った。

 

 今回、日本肝臓学会が独自の判定基準を設けた理由として、今後、肝疾患においてサルコペニア合併者の大幅な増加が予測されることと、本症の合併者は予後不良であるというエビデンスが集積されてきたことが挙げられる。患者数の増加は、肝疾患ではもともと患者の高齢化が進んでいる上に、肝疾患に対する様々な治療の進歩により生命予後が延長したため、高齢化に拍車がかかっていることが主因として挙げられる。さらに、肝臓は最も重要な代謝臓器であり、肝疾患では栄養障害などによる二次性サルコペニアを誘発しやすい。当然、肝疾患におけるサルコペニアの合併率は診断基準によって大きく左右される。本ワーキンググループでは、一般的に用いられているAsian Working Group for Sarcopenia(AWGS)の診断基準を二次性サルコペニアの要因を色濃く有する肝疾患にそのまま適用することの是非について、十分な討議を重ねてきた。特に、肝硬変に伴うサルコペニアは65歳未満の患者にも存在することから、まずAWGSの基準で定められている65歳以上という年齢制限を撤廃した。また、外来診療に於いて、臨床医ができるだけ簡便に判定できる基準とするために、歩行速度も判定項目から削除した。

 

 肝疾患の治療として、抗ウイルス療法などの原因療法が積極的に行われている。しかし、現状ではサルコペニア合併の有無を判断し、その対策を日常臨床に於いて一般的に講じているとは言い難い。今回、ワーキンググループが提唱した肝疾患におけるサルコペニアの判定基準を臨床の現場で広く活用して頂きたい。本症の適確な診断と治療介入によって、患者のQOLの改善に繋がれば望外の喜びである。

 

2016年5月

 

【一般社団法人日本肝臓学会 サルコペニア判定基準作成ワーキンググループ】

委員長        西口 修平    兵庫医科大学内科学・肝胆膵科             

委 員        日野 啓輔    川崎医科大学肝胆膵内科学       

同              森屋 恭爾    東京大学医学部附属病院感染制御部     

同              白木  亮    岐阜大学医学部附属病院第一内科         

同              平松  憲    広島大学病院消化器・代謝内科

同              西川 浩樹    兵庫医科大学内科学・肝胆膵科           

顧 問        小池 和彦        東京大学医学系研究科消化器内科学

 

【謝辞】

 本ガイドラインの作成にあたり、小池和彦日本肝臓学会理事長より適切な助言をいただき、さらにパブリックコメントの聴取や本判定基準の公表に協力をいただいた日本肝臓学会事務局に深謝いたします。またワーキンググループ参加各施設において、臨床データ収集にご協力いただきました皆様方に深謝いたします。

【利益相反】

西口修平:味の素製薬株式会社、大塚製薬株式会社、テルモ株式会社 

日野啓輔:味の素製薬株式会社、ブリストルマイヤーズ株式会社

その他の著者に関して、本件に関連し開示すべき利益相反なし。